専門家によるお悩み解決情報

Articles

リウマチになったときに知っておくべき知識

リウマチになったときに知っておくべき知識
こんな人に読んでほしい!
  • リウマチと診断されたばかりの方や、治療や生活に不安を感じている一般の方
  • ご家族として支えたいと思っている方
  • 専門用語に慣れていなくても、安心して理解できる情報を求めている方

はじめに

「関節リウマチ」という病名を聞いたことがあっても、実際にどんな病気で、どのように向き合っていけばいいのか、詳しく知る機会は少ないかもしれません。病院で診断を受け、薬を飲み始めたものの、症状や治療、生活の不安を抱える方も多くいらっしゃいます。

リウマチは長期間の治療と付き合っていく病気ですが、正しい知識を持ち、周囲のサポートを上手に活用することで、安心して生活を続けることができます。この記事では、リウマチと診断された方やそのご家族に向けて、医療・介護・民間サービス・コミュニティなどの情報をわかりやすくお伝えします。


診断の流れ

リウマチの治療で最も大切なのは「早期発見」と「早期治療」です。早く気づくことで関節の変形や機能低下を防ぎ、痛みを最小限に抑えることができます。

初期症状として、朝のこわばり(特に手指が動かしにくい)、小さな関節の腫れや痛み、疲れやすさなどが挙げられます。これらの症状が数週間以上続く場合は、整形外科またはリウマチ専門医の受診をおすすめします1)

診察では、関節の腫れや変形を確認し、血液検査(リウマトイド因子・抗CCP抗体など)やレントゲン、MRI、超音波検査で関節の状態を詳しく調べます。関節リウマチは、関節だけではなく全身に炎症を起こす自己免疫疾患です。関節の痛みだけでなく、倦怠感や微熱、食欲不振、肺や目の炎症など、全身の不調として現れることもあります。


リウマチ治療の基本

リウマチ治療は、

  1. 「薬物療法」
  2. 「リハビリテーション」
  3. 「生活習慣の工夫」

という三つの柱によって成り立っています。これらを無理のない範囲でバランスよく続けることで、関節の炎症を抑え、機能を維持し、より良い生活の質(QOL)を保つことができます。以下では、それぞれの治療についてわかりやすく説明していきます。

1.薬物療法

関節リウマチの治療の中心になるのは、免疫の異常な働きを抑えて炎症を鎮める薬の治療です。代表的な薬としては、メトトレキサート(MTX)、生物学的製剤、JAK阻害薬などがあり、いずれも関節の炎症を減らし、進行すると起こりうる関節破壊を防ぐ役割を担っています。

薬の選択は、症状の強さや副作用の出やすさ、生活スタイルなどを踏まえながら、担当医が個別に判断します。治療の途中では定期的に血液検査を行い、肝機能や腎機能、血液の状態などを確認しながら安全に進めていくことが大切です。

2.リハビリテーション

リハビリテーションも、リウマチの治療を考えるうえで欠かすことができない重要な要素です。

痛みがあると関節を動かすことをためらいがちですが、動かさない状態が続くと筋力や柔軟性が低下し、関節がさらに硬くなり、日常生活にも支障が生じやすくなります

理学療法士や作業療法士などの専門職は、関節に負担をかけずに安全に動かす方法を示しながら、痛みを軽減する動作や姿勢の工夫についても丁寧に助言してくれます

たとえば、家事や仕事などの日常動作の中でどう体を使えば痛みを減らせるのか、またどのような姿勢が関節に優しいのかといった点を一緒に確認しながら、生活に取り入れやすい形で実践的なサポートを受けることができます2)

3.生活習慣の工夫

日々の生活習慣を整えることも、リウマチの症状を安定させるためには欠かせません。

冷えやストレス、睡眠不足といった要因は炎症を悪化させる可能性があり、症状が強くなるきっかけになることもあります。そのため、体を冷やさないように重ね着をしたり温かい飲み物を取り入れたりするなどの工夫や、栄養バランスの整った食事、十分な睡眠を心がけることが大切です。

また、ストレッチや散歩といった軽い運動を無理のない範囲で続けることで、関節のこわばりを和らげたり、気分の良さを保ったりすることにもつながります。


公的支援制度で生活をサポート

リウマチは、治療や通院を長期的に続ける必要がある病気であるため、医療費や生活費の負担が大きくなりやすい傾向があります。こうした負担を少しでも軽減するために、以下のような公的な支援制度が利用できます。

公的支援制度一覧

高額療養費制度

1ヶ月の医療費が一定額を超えた分について、あとから払い戻しを受けられる制度です。テキストを入力してください。

医療費控除

1年間の医療費が一定額を超えた場合、確定申告で所得税の控除を受けられます。

体障害者手帳

関節の変形や可動域の制限が日常生活に影響している場合に取得でき、税金の軽減、交通費の割引などが適用されます。

指定難病医療費助成制度(悪性関節リウマチ)

悪性関節リウマチと診断された場合、医療費の自己負担が大きく軽減されます。

介護保険制度(40歳以上)

問リハビリテーション、福祉用具レンタル・購入、住宅改修など、生活を補う多様なサービスが利用できます。

就労支援制度

症状に合わせて働き続けるための支援や、障害者雇用枠での就労の相談が可能です。


医療と併用できる民間のケア

近年では、医療機関での治療と並行して、理学療法士による自費リハビリ、整体、鍼灸、マッサージといった民間のケアを取り入れる方が増えています。これらのサービスは、保険診療だけでは十分に補えない「体のメンテナンス」や「姿勢の調整」、「リラクゼーション」などの面で役立つことがあり、痛みの軽減や日常生活の動きやすさにつながるケースもあります。

ただし、関節リウマチの場合は炎症の状態によっては刺激を加えることが適さない場合もあります。民間のケアを取り入れる際には、主治医やリハビリの担当者にあらかじめ相談し、現在の症状に合った方法を選ぶことが安心につながります。医療と民間ケアを上手に組み合わせることで、より快適な生活を目指すことができます。


情報と仲間を得られるコミュニティ

リウマチは長く付き合っていく病気であるため、同じ経験を持つ人とつながることが大きな支えになります。自分だけでは得にくい情報を共有できたり、治療の工夫や気持ちの面でのヒントをもらえたりと、仲間の存在は心の負担を軽くする力があります。

たとえば、公益財団法人日本リウマチ財団のウェブサイトでは、病気に関する正確な情報や最新のトピックスが整理され、信頼できる知識を得ることができます3)。全国に支部を持つ「日本リウマチ友の会」では、講演会や交流会、会報誌を通じて、同じ悩みを抱える人たちとつながる場が提供されています4)

また、各地方都市の「関節リウマチネットワーク」では5), 6)、医療従事者と患者が協力して情報発信を行っており、実際の体験談や新しい治療薬に関する情報などを共有することができます。このようなコミュニティをうまく活用することで、治療への前向きな気持ちや日常生活での安心感につながることがあります。


まとめ

リウマチは、治療薬の進歩によって症状をしっかりコントロールできる時代になり、早期に治療を始めることで寛解を保てる可能性が高まっています。

だからこそ大切なのは、焦らずに自分のペースで治療を続ける姿勢です。薬によって炎症を抑え、リハビリで体の動かしやすさを保ち、生活習慣を整えること、この三つの柱を日々の中で少しずつ積み重ねていくことが、より良い生活につながります。治療と生活の両方を上手に整えながら、前向きに日常を重ねていきましょう。

【参考文献】

1)田中, 榮. (2023). III.関節リウマチの疫学. 日本内科学会雑誌, 112(10), 1890-1899. https://doi.org/10.2169/naika.112.1890

2)Jahid, M., Khan, K. U., Rehan Ul, H., & Ahmed, R. S. (2023). Overview of Rheumatoid Arthritis and Scientific Understanding of the Disease. Mediterr J Rheumatol, 34(3), 284-291. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10628871/?utm_source=chatgpt.com

3)公益社団法人 日本リウマチ財団, https://www.rheuma-net.or.jp/

4)公益社団法人 日本リウマチ友の会, https://www.nrat.or.jp/

5)名古屋リウマチネットワーク, https://www.med.nagoya-u.ac.jp/seikei/nrn/home.html

6)栃木リウマチネットワーク, http://www.tochigi-riumachi.net/

  • X
  • facebook
  • LINE

この記事の著者

三浦 里佳

三浦 里佳

理学療法士

プロフィール詳細

理学療法士歴20年。理学療法士免許取得後、急性期病院、回復期病院、訪問リハビリなどで整形疾患、脳血管疾患、リウマチ、神経難病、がん患者の支援を経験。身体の悩みを改善するための整体・リウマチケアサロン「Possibleee(ポッシブゥー)」を運営し、地域に貢献している。

Possibleee公式サイト:https://linoaloha.org/?utm_source=reha-match&utm_medium=article

この記事の監修者

川﨑 一平

川﨑 一平

作業療法士 / Ph.D.

プロフィール詳細

1987年熊本県生まれ。大学卒業後、作業療法士として医療機関に勤務。2014年から2年間、青年海外協力隊としてマレーシアの障害者支援NGOで活動し、異文化の中でリハビリや生活支援に携わる。帰国後、東京大学大学院に進学(国際協力学)。2019年より京都橘大学でアカデミックキャリアをスタートさせ、2025年に静岡大学大学院で博士号を取得(情報学)。現在は福岡の令和健康科学大学に勤務し、在宅環境を3Dで表現して生活支援の評価に役立てる研究や、リハビリテーション領域におけるAI技術の応用研究に取り組んでいる。プライベートでは1児の父として子育てに奮闘中。座右の銘は「行動は最良の選択」。大学教育のほか、フリーのOTとして臨床・執筆・講演・事業コンサルティング等にも取り組んでおり、ご依頼はippei.kawasaki.615@gmail.comまで。

お申し込み・お問い合わせ

お気軽にあなたの症状、
お悩みをお聞かせください!
  • マッチングまでは
    全部無料
  • お悩み最適
    セラピスト厳選