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禁煙は小さな一歩から 〜脳卒中リスクを遠ざけるために知っておきたいこと〜

こんな人に読んでほしい!
  • 長年タバコを吸っており、健康への影響が気になり始めている方
  • 血圧やコレステロール値を指摘され、生活習慣を見直したいと考えている方
  • 脳卒中や心筋梗塞を経験した家族がおり、自分の将来が不安な方
  • 禁煙したいと思っているが、どれくらい効果があるのか知りたい方
  • 「まだ若いから大丈夫」と感じつつもリスクを知っておきたい方

はじめに

健康診断で血圧やコレステロール値を指摘されたとき、「生活習慣を見直さないといけない」と感じる方は少なくありません。その中でも喫煙は、将来の健康に大きく影響する生活習慣の一つです。

タバコは肺に悪いというイメージが広く知られていますが、実際には血管への影響も非常に大きいことが分かっています。喫煙は血管を傷つけ、動脈硬化を進行させることで、脳梗塞や心筋梗塞といった命に関わる病気のリスクを高めます。

脳卒中は突然発症し、後遺症によって生活が大きく変わる可能性があります。しかし一方で、生活習慣の改善によってリスクを下げることができる病気でもあります。その中でも禁煙は、今日から始められる重要な予防行動の一つです。


たばこが血管に与えるダメージ

たばこには、健康に影響を与えるさまざまな有害物質が含まれています1)。ニコチンは血管を収縮させ血流を悪化させます。一酸化炭素は酸素の運搬を妨げ、全身を酸素不足の状態にします。タールには発がん性物質が含まれ、体内の炎症を促進します。

こうした影響が積み重なることで、血管は徐々に硬くなり、詰まりやすい状態へと変化していきます。これが動脈硬化です。動脈硬化が進行すると、脳や心臓への血流が途絶えやすくなり、命に関わる病気につながる可能性があります。


喫煙と脳卒中リスクの関係

喫煙は血管を傷つけ、動脈硬化を進行させることで脳卒中の発症リスクを高めることが知られています。実際の研究でも、喫煙者は非喫煙者に比べて脳卒中になりやすいことが報告されています。

国立がん研究センターの調査では2), 3)40〜59歳の男女を約11年間追跡した結果、喫煙者は非喫煙者と比べて脳卒中の発症リスクが男性で約1.3倍、女性では約2倍高いことが示されました。さらに喫煙本数が多いほどリスクは高くなる傾向があります。

脳卒中の中でも、くも膜下出血との関連は特に強く、喫煙者では男性で約3.6倍、女性で約2.7倍発症リスクが高いとされています。また脳梗塞についても、細い血管が詰まるラクナ梗塞や、太い血管が詰まる大血管脳梗塞のいずれにおいても、喫煙者では発症リスクが上昇することが報告されています。

さらに喫煙は発症だけでなく、脳卒中による死亡リスクにも影響します4)。日本人を対象とした長期追跡研究では、喫煙習慣がある人ほど脳卒中による死亡率が高いことが示されています。喫煙は血清コレステロール値の上昇や血管内の炎症を引き起こし、動脈硬化を進行させるため、重症化や死亡につながる可能性が高まると考えられています。

また、受動喫煙でも脳卒中や虚血性心疾患のリスクが上昇することが報告されており、本人だけでなく周囲の健康にも影響を及ぼすことが分かっています。


喫煙者が知っておきたい脳卒中のサイン

血管へのダメージが進行すると、ある日突然脳卒中を発症することがあります。

脳卒中の代表的な初期症状

  • 片側の手足の力が入りにくい
  • 顔のゆがみ
  • ろれつが回らない
  • 視野が欠ける
  • 強いめまいやふらつき

こうした症状がみられた場合は、無理をせず早めに医療機関へ相談することが大切です。

また、一時的に症状が改善する「一過性脳虚血発作(TIA)」は脳卒中の前触れとされており、喫煙歴がある方では血管のトラブルが起こりやすいことが知られています。体調の変化を軽く考えず、早めの対応を心がけましょう。


禁煙するとリスクはどう変わるのか

禁煙はすぐに体に変化をもたらします5)禁煙後20分で血圧や脈拍は安定し始め、数時間後には血中の一酸化炭素濃度が低下します。さらに数週間で血流が改善し、長期的には動脈硬化の進行を抑えることが期待できます。

研究では、禁煙を続けることで脳卒中の発症リスクは徐々に低下し、10〜15年後には非喫煙者に近いレベルまで改善する可能性があると報告されています。

つまり、禁煙は年齢やこれまでの喫煙歴に関わらず、健康を守るために今から始められる予防行動の一つです。

おわりに

喫煙は習慣として長く続いているほど、やめることに不安や抵抗を感じるかもしれません。しかし、禁煙は将来の健康を守るための大切な選択です。

脳卒中は突然生活を変えてしまう可能性のある病気ですが、そのリスクは日々の生活習慣によって変えることができます。少しずつでも行動を変えていくことが、未来の自分を守ることにつながります。

無理に一人で頑張ろうとせず、医療機関や禁煙外来など専門的な支援を活用しながら、自分に合った方法で禁煙に取り組んでいきましょう。

参考資料

1)厚生労働省, 健康日本21アクション支援システム〜健康づくりサポートネット〜 禁煙の効果, https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/tobacco/t-08-001

2)国立循環器研究センター, 喫煙,
https://www.ncvc.go.jp/coronary2/risk/smoking/index.html

3)国立がん研究センター, 男女別、喫煙と脳卒中病型別発症との関係について, https://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/267.html

Mannami T.,Iso H.,Baba S.,Sasaki S.,Okada K.,他:Cigarette smoking and risk of stroke and its subtypes among middle-aged Japanese men and women: the JPHC Study Cohort I.Stroke 35(6):1248-1253,2004.

4)橋本 洋一郎,和田 邦泰:喫煙本数による脳卒中リスク.ファルマシア 56(8):715-719,2020.

5)厚生労働省, 健康日本21アクション支援システム〜健康づくりサポートネット〜 禁煙の効果, https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/tobacco/t-08-001

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この記事の著者

小柳拓也

小柳拓也

理学療法士

プロフィール詳細

養成学校卒業後、理学療法士としてリハビリテーション専門病院で勤務。その後、総合病院や介護保険分野での経験を経て、現在はクリニック勤務。臨床経験の中で、予防医学の重要性や認知度の向上の必要性を感じ、地域での出張講座や高齢者向けの講演活動を実施している。

この記事はリハマッチ監督チームにより監修されています

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