人口減少が進むこれからの時代、セラピストは「資格を持っているから選ばれる」わけではなくなっていきます。副業は単なる収入源ではなく、本業とは違う環境で「自分を選んでもらう」経験を積み、自分の価値を試すための挑戦の場です。
自費リハビリの経験を通して、相手の本当のニーズを理解し、言葉にし、提案する力が磨かれていく過程を、実体験をもとに紹介します。
副業の本当の価値は収入だけではなく、自分で考え、決め、行動し、その結果に責任を持つという経験そのものにあります。
「理学療法士として、このまま働き続けて大丈夫なのだろうか」
そんなことを考えたことがあるセラピストは、少なくないのではないでしょうか。
今、理学療法士や作業療法士などのセラピストは、決して珍しい職業ではありません。養成校を卒業し、国家資格を取得して、新しくセラピストとして働き始める人が毎年のようにいます。
一方で、これから日本は人口減少の時代に入っていきます。今は高齢者が多く、リハビリテーションを必要とする人も多いため、「セラピストの仕事がなくなる」という感覚を持つ人は、それほど多くないかもしれません。しかし、長い目で見れば、リハビリテーションの対象となる人口そのものが減っていく可能性があります。(関連記事:リハビリテーション士の未来を考える)
そうなったとき、今までと同じように「資格を持っているから仕事がある」という状態が続くとは限りません。これからは、セラピスト一人ひとりが、
「この人にお願いしたい」
「この人にリハビリをしてもらいたい」
「この人だから相談したい」
と、選ばれることが、今まで以上に重要になってくるのではないでしょうか。
私は、そのために必要なのが、自分自身の価値を高めることだと考えています。そして、その方法の一つとして、セラピストには「副業」という選択肢があると思っています。
ここで言う副業は、単純に「月に5万円稼ぎましょう」「本業以外で収入を増やしましょう」という話ではありません。もちろん、生活を考えれば収入を増やすことは大切です。しかし、私が副業を経験して感じた一番大きな価値は、そこではありませんでした。
副業には、本業とは違う環境で、自分の力を試すことができる場所になるという大きな意味があると思っています。
セラピストは「資格を持っている」だけでは選ばれなくなる
まず前提として、私はリハビリテーションの技術や知識が重要ではないと言いたいわけではありません。むしろ逆です。リハビリテーションの技術や知識があり、結果を出せることは当然の前提だと思っています。
セラピストである以上、そこを磨き続けることは必要です。勉強会に参加する。最新の知識を学ぶ。臨床経験を積む。症例を振り返る。自分の技術を磨く。こうしたことは、これからも絶対に必要です。
ただ、それだけでは十分ではないと思っています。なぜなら、患者さんや利用者さんが求めているのは、「知識がある人」だけではないからです。
例えば、
「歩けるようになりたい」
「元の生活に戻りたい」
「一人で外に出られるようになりたい」
と言われたとします。この言葉を、そのままリハビリの目標にすることもできます。しかし、その言葉の奥には、もっと具体的な思いが隠れていることがあります。
「歩けるようになったら、何がしたいのか?」
「元の生活というのは、具体的にどんな生活なのか?」
「一人で外に出られるようになって、どこへ行きたいのか?」
「なぜ、それをしたいのか?」
そこまで掘り下げていく必要があります。そして、その人が本当に望んでいることを理解した上で、「では、そこに向かうためには何が必要なのか」を考えていく。ここに、セラピストとしての価値があると思っています。
「歩けるようになる」は、本当にゴールなのか
私自身、自費リハビリの仕事を経験する中で、このことを強く感じるようになりました。
例えば、「元の状態に戻りたい」という方は非常に多くいます。でも、「元の状態」という言葉だけでは、具体的なゴールは見えてきません。元の生活の中には、たくさんの要素があります。
仕事をすること。家族と過ごすこと。買い物に行くこと。友人と会うこと。旅行に行くこと。趣味を楽しむこと。一人で外出すること。
そのすべてを一度に元に戻すのは難しいかもしれません。だからこそ、「その人の生活の中で、何が一番重要なのか」を考える必要があります。逆に、今すぐできなくてもいいことは何なのか。何を優先して、何を後回しにするのか。一つひとつ整理していく。
そして、「まずはここを目指しましょう」「その次に、これができるようになれば、次の段階に進めます」というように、ロードマップを作っていく。
これは単純にリハビリのメニューを考えることとは少し違います。相手の頭の中にある「こうなりたい」という漠然としたイメージを、一緒に整理して、具体的な目標に変えていく作業です。私は、この力もセラピストにとって非常に重要だと思っています。
「旅行に行きたい」という言葉の奥にあるもの
もう一つ、印象に残っているケースがあります。ある方から、「一人で外を歩けるようになりたい」という希望がありました。これだけ聞けば、「屋外歩行ができるようになること」が目標になります。
しかし、話を聞いていくと、その方は旅行が好きでした。そして、本当にやりたかったのは、「旅行先で車椅子を押してもらうのではなく、自分の足で歩いて旅行を楽しみたい」ということでした。
ここまで分かると、必要なリハビリは変わってきます。旅行に行くためには、ただ歩ければいいわけではありません。どのくらいの距離を歩ける必要があるのか。旅行先はどんな場所なのか。景色がきれいな場所に行きたいのであれば、不整地を歩く必要があるかもしれない。坂道があるかもしれない。長時間歩く必要があるかもしれない。途中で休憩する必要もあるかもしれません。
旅行先でカフェに入りたいのであれば、歩行だけではなく、お店に入る、席まで移動する、座る、荷物を扱うといった動作も必要になります。買い物を楽しみたいのであれば、杖を使わずに何かを持って歩く能力も必要になるかもしれません。
つまり、「歩けるようになること」と「旅行を楽しめること」は同じではない。 ここが重要なのだと思います。
最終的に本人が望んでいるのは、「歩く」という行為そのものではないかもしれません。歩くことによって、
旅行を楽しみたい。
自分の好きな場所に行きたい。
自分らしい時間を過ごしたい。
ということなのかもしれません。そう考えると、リハビリの目標そのものが変わってきます。
私はこうした経験を通して、セラピストの役割は単に「身体を良くすること」だけではないと考えるようになりました。その人が本当にやりたいことを一緒に見つけ、それを実現するための道筋を作ること。 これも、セラピストの重要な役割なのではないでしょうか。
なぜ自費リハビリで、このことを強く感じたのか
では、なぜ私は副業を始めたことで、こうしたことを強く考えるようになったのでしょうか。
私は最初の副業として、自費でリハビリを提供する仕事に取り組みました。ここには、保険制度の中で提供するリハビリとは違う部分があります。(関連ページ:なぜ自費リハビリなのか?)
もちろん、医療保険や介護保険の中でも、一人ひとりの患者さんの希望を聞き、その人に合わせたリハビリを行うことは非常に重要です。ただ、保険制度の中では、国が費用の大部分を負担しているという仕組みがあります。そのため、国としてどのようなサービスを提供するのかという大きな枠組みがあり、その中で、全国民に一定のサービスが行き渡ることが重要になります。まずは生活に必要な基本的な能力を取り戻す。その上で、個々の患者さんの生活や希望に合わせていく。
一方で、自費リハビリの場合は、本人が自分のお金を払って「リハビリを受けたい」と選択しています。つまり、「リハビリを受ける」ということ自体が、その人自身の意思決定によって行われている。 ここには大きな違いがあります。
「自分を選んでもらわなければ、施術する機会すらない」
自費リハビリをやってみて、私が非常に大きな経験だと感じたのが、「自分を選んでもらう必要がある」 ということでした。
自分がどれだけリハビリの技術を持っていても、知識があっても、相手から選ばれなければ、そもそも施術をする機会をもらえません。これは、雇用されている環境とは大きく違うところだと思います。
会社に所属していれば、基本的には会社から仕事が与えられます。患者さんが来れば、その患者さんを担当する。指示された仕事があれば、それを行う。もちろん、その中でも高い専門性や責任感は必要です。
しかし、自費の世界では、「この人にお願いしたい」と思ってもらわなければ、仕事そのものが始まりません。そこで初めて、
「自分には何ができるのか?」
「相手は何を求めているのか?」
「どうすれば満足してもらえるのか?」
ということを、本気で考えるようになりました。
相手は100%自分の気持ちを言葉にできるわけではない
ここで大切だと感じたのが、カウンセリングとコミュニケーションの力です。
リハビリを受けに来る方は、もちろん「こうなりたい」という希望を持っています。ただ、人間は自分の考えていることを、100%正確に相手へ伝えられるわけではありません。初対面の人に対して、自分の本当の気持ちをすべて話せるでしょうか。信頼関係ができていたとしても、自分の感情を100%言語化するのは簡単ではありません。
だから、セラピスト側が、「この人は本当は何を望んでいるのだろう」と考えながら話を聞く必要があります。もちろん、勝手に決めつけてはいけません。だからこそ、適切な距離感を保ちながら質問をする。相手の答えを聞く。そこからさらに掘り下げる。時には、相手自身も気づいていなかった思いが出てくることがあります。そして、その本質的なニーズを一緒に整理していく。
私は、この経験によって、セラピストにとっての「聞く」という行為の意味が変わりました。
セラピストに必要なのは「技術」だけではない
もちろん、技術は重要です。知識も重要です。結果を出すことも重要です。
しかし、それだけでは「選ばれるセラピスト」にはなれない。私は、技術・知識を土台として、その上に、次のような力が必要だと考えています。(関連記事:セラピストとして選ばれるために必要なこと)
- ▶相手を理解する力
- ▶言語化する力
- ▶説明する力
- ▶プランニングする力
- ▶提案する力
- ▶信頼関係をつくる力
が必要だと考えています。そして、そのすべてを含めて、「この人にお願いしたい」 と思ってもらえることが大切です。
これは、単純に「コミュニケーション能力が高ければいい」という話でもありません。パーソナリティーも関係します。話しやすい人。安心感がある人。真剣に向き合ってくれる人。自分のことを理解しようとしてくれる人。そうした人間的な部分も、信頼を構築する重要な要素になります。結局、リハビリは人と人との関わりだからです。
副業は「収入を増やす場所」だけではない
ここで、今回のテーマである「副業」に戻りたいと思います。
副業を始める理由として、まず「収入を増やしたい」というのは当然だと思います。生活がかかっています。収入を増やしたいと思うことは、決して悪いことではありません。
ただ、私は副業には、それとは別の大きな価値があると思っています。それが、「挑戦する場所を持つこと」 です。
人は、自分が置かれている環境の中だけでは、経験できることに限界があります。勉強会に行く。本を読む。日々の臨床で経験を積む。これはもちろん重要です。しかし、それとは別に、自分の力で何かを決めて、自分の責任でやってみる環境 を持つことにも、大きな意味があります。
いきなり独立する必要はない
もちろん、リスクを取って一気に独立するという選択肢もあります。独立して、自分で事業を作る。自分でお客さんを集める。自分でサービスを考える。自分で売上を作る。成功すれば、その分リターンも大きくなります。
しかし、私は全員が全員、独立する必要があるとは思っていません。人によって環境は違います。家族がいる人もいる。住宅ローンがある人もいる。今の職場を辞められない事情がある人もいる。大きなリスクを取りたくない人もいる。そもそも、独立したいと思っていない人もいる。それは、それぞれの価値観です。
だからこそ、「独立するか、しないか」の二択にする必要はない と思っています。その間にある選択肢として、副業があります。
本業に守られながら、自分の力を試す
本業があるということは、大きな意味があります。給与がある。職場がある。社会保険などの制度がある。一定の仕事がある。つまり、ある程度守られた環境で働くことができます。その環境を捨てる必要はありません。
その上で、副業という別の環境を持ってみる。そこでは、自分で考える必要があります。自分で行動する必要があります。場合によっては、自分でお客さんを見つける必要があります。自分のサービスを説明する必要があります。選ばれなければなりません。そして、結果が出なければ、自分自身に原因を考える必要があります。(関連ページ:登録セラピスト例)
これは非常に大きな経験になります。なぜなら、「誰かに仕事を与えてもらう」という感覚から、「自分で価値を作って、それを相手に認めてもらう」という感覚に変わっていくからです。
自分で決めて、自分で責任を持つ経験
私は、若い時期にがむしゃらに働く経験は、後々、自分が困ったときに自分を支えてくれる財産になると思っています。もちろん、ただ長時間働けばいいという話ではありません。重要なのは、次のことです。
- ▶自分で考えること。
- ▶自分で決めること。
- ▶自分で行動すること。
- ▶そして、その結果に自分で責任を持つこと。
誰かから指示されたことをやる。これは、仕事をする上で当然必要なことです。組織の中で働く以上、チームとして動くことも重要です。ただ、それだけでは自分自身の経験値は限られてしまう。
「自分ならどうするのか?」
「自分だったら、どういうサービスを作るのか?」
「相手は何を求めているのか?」
「どうすれば選んでもらえるのか?」
「自分には何が足りないのか?」
こうしたことを自分で考え、実際に行動する。その経験が、自分自身の価値を作っていくのだと思います。
「自分に価値をつける」という考え方
セラピストになったばかりの頃は、「資格を取った」「病院に就職した」「○○の認定資格を取った」ということが、自分のキャリアを作っている感覚になりやすいと思います。もちろん、それらは大切です。
でも、最終的に社会から評価されるのは、「何という資格を持っているか」だけではありません。その人が何をできるのか。どんな価値を提供できるのか。どんな人から必要とされるのか。 ここが重要になります。
私は、副業を経験することで、この感覚が強くなりました。「理学療法士だから仕事がある」のではなく、「自分だからお願いしたい」と言ってもらえる状態を作る。 これが、自分自身に価値をつけるということなのだと思います。
これからのセラピストに必要な「経験値」
これからセラピストを取り巻く環境は変わっていくと思います。人口が減っていけば、当然、リハビリを必要とする人の数も変わっていきます。その中で、セラピストの数が多い状態が続けば、これまで以上に「選ばれる」ということが重要になるでしょう。
そのときに、「私は理学療法士です」だけでは差別化が難しくなるかもしれません。だからこそ、若いうちからさまざまな経験を積んでおく。臨床経験を積む。勉強する。人と関わる。そして、可能であれば本業とは違う場所でも挑戦する。
営業を経験してもいい。SNSで発信してもいい。文章を書いてもいい。自費リハをやってもいい。セミナーをしてもいい。コンサルティングをしてもいい。何でもいいと思います。重要なのは、「自分の能力を使って、誰かに価値を提供する」 という経験をすることです。
副業で失敗することにも価値がある
副業を始めたら、必ず成功するわけではありません。むしろ、最初はうまくいかないことの方が多いと思います。
お客さんが来ない。思ったようにサービスを利用してもらえない。自分の説明が伝わらない。価格設定が難しい。時間が足りない。本業との両立ができない。いろいろな問題が出てきます。
でも、その失敗こそが経験になります。
「なぜ選ばれなかったのか」
「何が足りなかったのか」
「相手は何を求めていたのか」
「自分が考えていた価値と、相手が感じている価値は同じなのか」
こうしたことを考える機会になります。そして、改善する。また挑戦する。この繰り返しが、自分の力を高めていくのだと思います。
副業を始めるなら「何をするか」より「何を得るか」
これから副業を始めたいセラピストには、「何の副業が一番儲かりますか?」という視点だけではなく、「この副業を通して、自分は何を身につけたいのか?」 という視点を持ってほしいと思います。
例えば、自費リハなら、利用者さんのニーズを深く理解する力や、提案力を鍛えられるかもしれません。営業なら、相手のニーズを把握して提案する力が身につくかもしれません。SNSなら、情報を整理して発信する力が身につく。事業をやれば、売上やコスト、集客、顧客満足など、経営に関する経験ができます。
つまり、副業は「第二の仕事」というだけではありません。自分の能力を広げるための学習環境でもある。 そう考えると、副業の意味は大きく変わってきます。
若いセラピストに伝えたいこと
もし私が若い頃の自分に何か伝えられるとしたら、「もっと早く、自分で考えて、自分で決める経験をしておいた方がいい」と伝えると思います。
若いうちは、失敗してもやり直せることが多い。もちろん、生活や家庭など、人によって状況は違います。だから、無理をして大きなリスクを取る必要はありません。
ただ、小さくてもいい。本業を続けながらでもいい。週に一日でもいい。月に数回でもいい。自分の力で何かをやってみる。誰かに言われたからではなく、自分で考えて決める。そして、その結果を自分で受け止める。その経験は、後になって必ず自分を支えてくれると思います。
副業の本当の価値は「収入」だけではない
副業を始めると、もちろん収入が増える可能性があります。これは大きなメリットです。生活に余裕ができるかもしれない。将来への不安が少なくなるかもしれない。やりたいことに使えるお金が増えるかもしれない。
でも、私はそれだけが副業の価値ではないと思っています。副業を通して、次のような経験を積めることこそが、長い目で見たときの大きな財産になると思っています。
- ▶自分で考える。
- ▶自分で決める。
- ▶自分で行動する。
- ▶自分の価値を相手に認めてもらう。
- ▶失敗したら改善する。
- ▶また挑戦する。
「資格」ではなく「自分自身」に価値をつける
これからセラピストを取り巻く環境は、少しずつ変わっていくと思います。今まで当たり前だったことが、これからも当たり前とは限りません。だからといって、不安になりすぎる必要もありません。セラピストという仕事そのものの価値がなくなるわけではないからです。むしろ、人の身体や生活に直接関わり、その人の「やりたい」を支える仕事だからこそ、これからも必要とされる場面はたくさんあると思います。(関連ページ:本当はすごい、理学療法士など「セラピスト」たち)
ただし、「資格があるから必要とされる」から、「自分だから必要とされる」へ。 この変化は、意識しておいた方がいいと思います。
技術を磨く。知識を増やす。経験を積む。そして、人の話を聞く。相手の本当のニーズを理解する。それを言葉にする。具体的な計画を作る。提案する。信頼してもらう。そして、自分自身の力で価値を提供してみる。こうした経験の一つとして、副業がある。私はそう考えています。
副業は「逃げ道」ではなく「挑戦する場所」
副業という言葉を聞くと、「本業が嫌だからやるもの」「会社を辞めるためにやるもの」「お金が足りないからやるもの」というイメージを持つ人もいるかもしれません。
でも、私は少し違う捉え方をしています。副業は、自分の可能性を試す場所 です。
今の職場を辞めなくてもいい。いきなり独立しなくてもいい。大きな借金をして事業を始める必要もない。今の生活を守りながら、小さく挑戦することができる。
その中で、
「自分は何ができるのか」
「何が足りないのか」
「何なら人に価値を感じてもらえるのか」
を知ることができます。そして、そこで得た経験は、本業にも戻ってきます。
副業で学んだコミュニケーションが、患者さんとの関係づくりに役立つかもしれない。提案力が、リハビリ計画に生きるかもしれない。営業経験が、地域連携に生きるかもしれない。経営の経験が、将来のキャリア選択につながるかもしれない。そうやって経験が積み重なっていく。
最後に
私は、すべてのセラピストが副業をしなければならないとは思っていません。独立する必要もありません。今の職場で、セラピストとして専門性をとことん追求する道も、もちろん素晴らしいキャリアです。
ただ、一つだけ伝えたいことがあります。自分の価値を、自分のいる環境だけで決めないでほしい。
今の職場で評価されているから安心する。資格を持っているから大丈夫だと思う。そうではなく、一度、違う環境に出てみる。自分の力を試してみる。自分を選んでもらう。自分のサービスにお金を払ってもらう。そして、うまくいかなければ、なぜなのかを考える。その経験は、必ず自分の中に残ります。
若いときにがむしゃらに働いた経験。自分で考えて、自分で決めて、責任を持った経験。誰かに指示されて動くのではなく、「自分自身に価値をつけるために、自分から行動する」 という考え方。
こうしたものは、今すぐ大きな成果として見えなくても、何年後、何十年後に自分が困ったとき、きっと自分を支えてくれるものになります。
これからのセラピストに必要なのは、資格を増やすことだけではない。自分自身の価値を高めること。 そのために、勉強する。経験する。人と関わる。そして、時には本業とは違う場所に出て、自分の力を試してみる。その一つの選択肢として、私は副業という働き方をおすすめしたいと思っています。
「副業を始めて、お金を稼ぎましょう」という話ではありません。「自分の未来のために、自分自身へ投資する場所を持ってみませんか?」 という提案です。
今の自分には何ができるのか。誰に、どんな価値を提供できるのか。そして、これから自分はどんなセラピストになりたいのか。その答えを見つけるためにも、一度、本業とは違う場所で挑戦してみる。その経験が、あなた自身の価値を、少しずつ作っていくのだと思います。
- ✓人口減少により、「資格があるから選ばれる」時代は少しずつ変わっていく
- ✓自費リハビリなどの副業は、「自分を選んでもらう」経験を積む場になる
- ✓技術・知識に加えて、理解する力・言語化する力・提案する力・信頼関係をつくる力が必要
- ✓副業は独立と会社員の二択ではなく、本業に守られながら挑戦できる選択肢
- ✓副業の本当の価値は収入ではなく、自分で考え、決め、行動し、責任を持つ経験そのものにある

