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カテゴリー: 病気・疾患の知識
タグ: 有識者記事, 脳梗塞, その他(5件)

アテローム血栓性脳梗塞を予防するために 〜生活習慣を見直すために知っておきたいこと〜

こんな人に読んでほしい!
  • 健康診断で血圧やコレステロールが高いと言われたことがある方
  • 手足のしびれや話しにくさなど、脳梗塞かもしれない症状が気になる方
  • ご家族が脳梗塞を発症し、原因や予防法を知りたい方
  • 生活習慣病と脳梗塞の関係について知りたい方

要約

アテローム血栓性脳梗塞は、突然重い症状が出ることもありますが、手のしびれや話しにくさなどの軽い兆候から始まり、数時間から数日かけて徐々に悪化することがあるのが特徴です。よって、症状に気づいたら疲れのせいにして放置せず、すぐに救急要請をすることが、後遺症を減らすために重要です。また、高血圧や脂質異常症、糖尿病といった持病を適切に管理し、禁煙やウォーキングなどの習慣を積み重ねる必要があります。単なる加齢のせいと諦めず、日々の予防で大切な血管の健康を守りましょう。


はじめに

アテローム血栓性脳梗塞は、首や脳の太い血管が動脈硬化によって狭くなり、血液が流れにくくなることで起こる脳梗塞です。高血圧、脂質異常症、糖尿病、喫煙など、いわゆる生活習慣病が深く関係しています。脳梗塞というと、「突然倒れる病気」というイメージがあるかもしれません。

しかし、アテローム血栓性脳梗塞では、最初は軽い症状しか出ず、数時間から数日かけて徐々に悪化することがあります。

アテローム血栓性脳梗塞の初期症状一例

  • 朝から少し手がしびれる
  • なんとなく言葉が出にくい
  • 片方の足に力が入りにくい

上記の症状が出ていたのに、「疲れているだけかな」と思って様子を見てしまい、夕方や翌日に急に悪化することがあります。そのため、「まだ軽いから大丈夫」と思わず、早めに受診することがとても大切です。

特に、高血圧や脂質異常症、糖尿病などを指摘されたことがある方は、「自分には関係ない」と思わず、少しの体の変化にも注意してください。これらの病気は普段は自覚症状が少ないため、知らないうちに血管の傷みが進んでいることがあります。


アテローム血栓性脳梗塞はどのように起こるのか?

血管は3層構造になっており、一番内側にあるのが「内皮」です。内皮は、血管を広げたり縮めたり、血液を固まりにくくしたりするなど、血管の状態を保つ重要な役割を担っています。

アテローム血栓性脳梗塞の発生メカニズム

  1. まず初めに、悪玉コレステロール(LDLコレステロール)が血管の壁にたまります。すると、血管の一番内側にある内皮が少しずつ傷ついていきます。
  2. 傷ついた部分には、コレステロールや炎症に関わる細胞が集まり、「プラーク」という脂のかたまりができます。プラークが大きくなると、血管は少しずつ狭くなり、血液が流れにくくなります。これが動脈硬化です。
  3. さらに、高血圧や強いストレスなどでプラークが破れると、その場所に血小板が集まり、血のかたまり(血栓)ができます。
  4. その結果、もともと狭くなっていた首や脳の太い血管がさらに詰まり、脳に十分な血液が届かなくなります。これがアテローム血栓性脳梗塞です。

アテローム血栓性脳梗塞はどのような症状が出るのか?

アテローム血栓性脳梗塞では、顔の片側がゆがむ、片方の手足に力が入らない、しびれる、言葉が出にくい、ろれつが回らない、人の話が理解しにくい、片方の目が見えにくい、ふらついてまっすぐ歩けない、といった症状が出ることがあります。

特に注意したいのは、最初は軽い症状でも、数時間から数日かけて悪化することがある点です。「少ししびれるだけだから大丈夫」、「昨日より少し良くなった気がする」と思って様子を見ているうちに、翌日には手足が動かなくなったり、話せなくなったりすることもあります。

脳梗塞が疑われるときは、「FAST」という覚え方が役立ちます。

FAST

  • F(Face):顔がゆがんでいないか
  • A(Arm):片腕が上がりにくくないか
  • S(Speech):言葉がうまく話せない、ろれつが回らない
  • T(Time):1つでもあれば、すぐに救急車を呼ぶ

1つでも当てはまる症状があれば、迷わず119番しましょう。また、症状が数分で軽くなったり、一度治ったように見えたりしても安心はできません。これは一過性脳虚血発作(TIA)と呼ばれ、本格的な脳梗塞の前触れであることがあります。「今は大丈夫だから」と様子を見るのではなく、その場合も必ず医療機関を受診してください。


症状が出たときはどう対応すればよいか?

もし、上のような症状がみられた場合は、迷わずに救急車を呼んでください。繰り返しになりますが、「少し休めば治るかもしれない」、「朝まで様子を見よう」と考えてしまうと、治療が遅れ、後遺症が残ってしまう可能性があります。脳梗塞は、治療までの時間が早いほど、回復しやすくなることが知られています。

また、救急車を待っている間は、次のような対応を心がけましょう。

  • 無理に歩かせたり動かしたりしない
  • 食べ物や飲み物を口に入れない
  • いつから症状が始まったのかを確認しておく

症状が始まった時間は、治療方法を決めるうえで非常に重要です。「朝起きたら症状があった」のか、「昨日の夜までは普段通りだった」のかだけでも、できるだけ正確に救急隊や医師へ伝えましょう。


アテローム血栓性脳梗塞を予防する5つのポイント

アテローム血栓性脳梗塞は、毎日の生活を少し見直すことで、発症の危険を減らせる病気です。

アテローム血栓性脳梗塞を予防する5つのポイント

① 血圧を管理する

高血圧は、血管を傷つける大きな原因です。健康診断で「血圧が高い」と言われたまま放置している方は、早めに病院で相談しましょう。

② コレステロールを管理する

悪玉コレステロール(LDLコレステロール)が高いと、血管の中にプラークができやすくなります。脂っこい食事や食べ過ぎを控え、必要に応じて薬でコントロールすることも大切です。

③ 糖尿病を放置しない

糖尿病があると、血管はさらに傷つきやすくなります。血糖値が高いと言われている方は、食事や運動、薬でしっかり管理しましょう。

④ 禁煙する

たばこは、血管に大きなダメージを与えます。禁煙は、アテローム血栓性脳梗塞を予防するうえで、とても効果的です。いきなりやめるのは難しいという方は、禁煙外来を利用したり、本数を減らしたりすることから始めましょう。

⑤ 適度な運動を続ける

運動は、血圧やコレステロール、血糖値を下げるのに役立ちます。まずは、1日20〜30分くらいのウォーキングを、週に3〜5回続けることから始めてみましょう。


私の経験から伝えたいこと

私はこれまで、多くのアテローム血栓性脳梗塞後の方のリハビリに関わってきました。その中で、「もっと早く病院に行っていれば」、「健康診断で言われていたのに、そのままにしてしまった」と話される方を、何人も見てきました。リハビリで良くなる部分はもちろんあります。しかし、発症前とまったく同じ状態まで戻ることは、簡単ではありません。だからこそ、普段から少しだけ生活を見直すことが、とても大切だと感じています。

例えば、甘いものやお酒を少し減らす、たばこの本数を減らす、通勤のときに少し歩く、健康診断で指摘された血圧や血糖値を放置しない。そのような小さな積み重ねが、将来の脳梗塞を防ぐことにつながるかもしれません。

最後までこの記事を読んでいただけたあなたの健康を心より願っています。

 参考文献

  1. The SPRINT Research Group,A Randomized Trial of Intensive versus Standard Blood-Pressure Control,N Engl J Med 2015,373,2103-2116, https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1511939
  2. Omar Mhaimeed,The importance of LDL-C Lowering in atherosclerotic cardiovascular disease prevention:Lower for longer is better,American Journal of Preventive Cardiology,Volume18,June2024,100649, https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2666667724000175?via%3Dihub
  3. Xia Wang,Endothelial dysfunction:molecular mechanisms and clinical implications,MedComm2020,2024,Jul,22,5(8), https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC11261813/
  4. Mashudu Mudau,Endothelial dysfunction:the early predictor of atherosclerosis,Cardiovascular Journal of Africa,2012,May;23(4):222-231, https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC3721957/
  5. Dawn O,2021 Guideline for the Prevention of Stroke in Patients With Stroke and Transient Ischemic Attack:A Guideline From the American Heart Association/American Stroke Association,Stroke,Volume 52,Number7, https://www.ahajournals.org/doi/10.1161/STR.0000000000000375?utm_source=chatgpt.com
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この記事の著者

廣田 雄也

廣田 雄也

理学療法士/保健医療学 修士

プロフィール詳細

2008年に理学療法士免許を取得。10年間の医療機関での勤務を経て、2018年に自費整体院を開業。同年に国際医療福祉大学大学院で修士を取得。翌年より整体院経営と並行してフランスベッド株式会社に所属し、医療機器のフォローアップや福祉用具の開発に携わる。2021年に東京さくら病院(現 タムスさくら病院江戸川)のリハビリテーション科長に着任。現在はおくさわ脳卒中リハビリテーション病院に勤務し、リハビリテーション部長として部内のマネージメントに取り組んでいる。座右の銘は「当たり前のことを当たり前に」。

この記事はリハマッチ監督チームにより監修されています

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