専門家によるお悩み解決情報

Articles

カテゴリー: 健康・予防の知識
タグ: 脳梗塞, 脱水, その他(5件)

夏場の脳梗塞を防ぐために 〜知っておきたい脱水症対策〜

こんな人に読んでほしい!
  • 夏場の熱中症や脱水が気になっている方
  • 高血圧や糖尿病など、生活習慣病のある方
  • ご自身やご家族の脳梗塞予防について知りたい方
  • 水分補給のタイミングや方法について改めて確認したい方
この記事の要約

脳梗塞は冬だけでなく、脱水が起こりやすい夏場も発症リスクが急上昇するため厳重な注意が必要です。

夏場に脱水状態になると血液が濃縮されて血栓ができやすくなり、特に睡眠中の発汗が影響する「早朝から起床後2時間」が最も危険な時間帯となります。

高齢者はのどの渇きを感じにくく自覚がないまま進行するため、のどが渇く前から「1日1.5〜2リットル」を目安にこまめな水分補給を徹底することが予防に極めて重要です。

はじめに

近年は5月から急激に気温が上昇し、30度を超す地域が多くあります。急激な気温の上昇は体調を壊しやすく、体調が優れない人もいると思います。梅雨から夏にかけての季節は気温がどんどん上昇するため、脱水になりやすく「熱中症」に注意が必要です。

脱水は熱中症の原因として知られていますが、実は脳梗塞のリスクを高める要因の一つでもあります。脳梗塞が発症しやすい時期は冬場と思っている方も多いかもしれませんが、脱水が起こりやすい夏場にも注意が必要です。

今回は脱水からくる熱中症や脳梗塞について解説します。

夏は脱水に注意が必要

夏は汗を他の季節よりも多くかくため、適切に水分補給を行わないと体は水分不足になります。成人の体の約60%は水分で構成されており、水分は体温調節や血液循環などに重要な役割を担っています。

仕事や運動などで体を動かすと体内で熱が作られ、体温が上昇します。体温が上昇すると汗をかくことで、体の中にある熱を逃がし、体温を調整しています。 脱水になると体温調整ができなくなり、体の中に熱が溜まり、熱中症を引き起こします。

熱中症の症状に注意
  • 初期症状:手足のしびれ・めまい・たちくらみ・筋肉のこむら返り
  • 進行した症状:頭痛・吐き気・嘔吐・力が入りにくい

これらの症状がみられた場合は、直ちに涼しい場所に移動し、水分と塩分摂取を行い、安静にしなければいけません。それでも症状が回復しない場合は、医療機関を受診するか、必要に応じて救急車を要請してください。

熱中症は命に関わる病気のため、こまめな水分摂取・塩分の補給を行い、予防をしていきましょう1)

夏場にみられるこれらの症状は、熱中症だけでなく、場合によっては脳梗塞などの重大な病気が隠れていることもあります。

脳梗塞は冬だけの病気ではない

脳梗塞というと、「寒い冬に起こりやすい病気」というイメージを持つ方も多いかもしれません。実際に、日本脳卒中データバンク2025によると2)、脳卒中全体では1月に発症が多いことが報告されています。

脳卒中は、脳の血管が破れて出血する「脳出血」、脳の血管が詰まることで発症する「脳梗塞」、脳を覆う膜の下で出血が起こる「くも膜下出血」の3つに大きく分類されます。

冬に多い
  • 脳出血
  • 脳卒中全体(1月がピーク)
夏にも要注意
  • 脳梗塞(脱水の影響)
  • くも膜下出血(季節差は比較的小さい)

脳出血は冬場に多い傾向がありますが、脳梗塞は夏場にも注意が必要であることが知られています。一方で、くも膜下出血は季節による差が比較的小さいとされています。

その背景の一つとして考えられているのが、夏場に起こりやすい脱水です。脱水は熱中症の原因となるだけでなく、脳梗塞のリスクを高める可能性もあります。 よって、夏場は熱中症だけでなく、脳梗塞の予防についても意識することが大切です。

夏場に脳梗塞が起こるメカニズム

夏場に脳梗塞が起こりやすくなる背景の一つとして、脱水の影響が考えられています。脳梗塞は、脳の血管が詰まることで血液の流れが妨げられ、脳の一部に十分な酸素や栄養が届かなくなる病気です。 その結果、手足の麻痺やしびれ、ろれつが回らない、言葉が出にくいといったさまざまな症状が現れます。

脱水→脳梗塞のリスクが高まるしくみ
  • 脱水により体内の水分が不足し、血液中の水分量が減少する
  • 血液の流れが悪くなり、血栓(血液の塊)ができやすい状態になる
  • 脳の血管が詰まりやすくなり、脳梗塞のリスクが高まる

つまり、脱水は熱中症の原因となるだけでなく、脳梗塞の発症にも関係する可能性があります。そのため、夏場は熱中症対策だけでなく、 脳梗塞予防の観点からも十分な水分補給を心がけることが大切です。

脳梗塞が起こりやすい時間

脳梗塞は、早朝や起床前に発症しやすいことが知られています。睡眠中は体がリラックスしているため血圧が低下し、血液の流れもゆるやかになります。 また、睡眠中にも汗をかくため、起床時には軽い脱水状態になっていることがあります。

さらに、起床後に活動を始めると血圧が上昇するため、こうした変化が重なることで脳梗塞が起こりやすくなると考えられています。そのため、睡眠中から起床後2時間程度は特に注意が必要な時間帯とされています。

高齢者は特に注意
  • 夜間のトイレを気にして就寝前の水分摂取を控えてしまう場合があります。しかし、水分を極端に制限すると脱水につながり、熱中症や脳梗塞のリスクを高める可能性があります。

梅雨時期から夏場にかけては、就寝前や起床後の水分補給を意識し、脱水を予防することが大切です。

💡 理学療法士の視点:臨床現場で見る「夜間の水分制限」の罠

私たち理学療法士が訪問リハビリやリハビリ専門病院で高齢の患者さまと接する際、「夜のトイレが近くなるから夕方以降は水分を控えている」という声を本当に頻繁に耳にします。しかし、臨床的にもこの『自己制限』こそが、翌朝の脳梗塞発症の引き金になっているケースが少なくありません。ご家族の方は、本人が「喉が渇いていない」と言っても、目見える場所に常に湯呑みやボトルを置き、1回あたり一口・二口でも良いので回数を分けて飲むよう環境を整えてあげてください。この些細な環境調整が、夏場の発症を防ぐ最大の盾となります。

脱水を引き起こす主な原因

脱水というと、「暑い日にたくさん汗をかいたときに起こるもの」というイメージを持つ方も多いかもしれません。しかし、脱水は汗だけが原因ではありません。 普段の水分摂取量や飲み物の種類、年齢や服用している薬など、さまざまな要因が関係しています。

ここでは、脱水を引き起こしやすい主な原因についてみていきましょう。

原因1:生活習慣による「日頃の水分摂取量」の不足

普段から水分をあまりとらない方は、脱水になりやすい傾向があります。特に夏場は汗をかく機会が増えるため、体内の水分は想像以上に失われています。 汗をかくのは運動時や入浴時だけではありません。睡眠中にも汗をかいているため、日頃からこまめに水分を補給することが大切です。

原因2:お茶やコーヒー、アルコールによる「利尿作用」の罠

緑茶やコーヒー、アルコール飲料をよく飲む方も注意が必要です。カフェインやアルコールには利尿作用があり、尿として体外へ排出される水分量が増えることがあります。 そのため、これらの飲み物だけで水分補給を行っていると、脱水につながる可能性があります。

原因3:加齢に伴う「渇きの鈍麻」と「治療薬」の影響

高齢になると体内の水分量が減少するだけでなく、のどの渇きを感じにくくなることが知られています。そのため、自覚のないまま脱水状態になっている場合があります。 また、加齢に伴って腎機能が低下すると、水分バランスの調整が難しくなることがあります。

さらに、高血圧や心臓病などの治療で使用される利尿薬は、尿量を増やすことで体内の余分な水分を排出する薬です。 服用している方は脱水になりやすい場合があるため、主治医の指示に従いながら水分補給を心がけましょう。

適切な水分補給の方法とタイミング

脱水や熱中症、脳梗塞のリスクを減らすためには、夏場は特に意識して水分を補給することが大切です。ただし、一度に大量の水を飲めばよいというわけではありません。 脱水を予防するためには、適切なタイミングでこまめに水分をとることが重要です。

水分補給のポイント
  • 「のどが渇く前」に補給する(渇きを感じたときにはすでに軽い脱水状態)
  • 1日1.5〜2リットルを目安に、無理のない範囲でこまめに摂取する
  • 就寝前・起床後は特に意識して補給する
  • 入浴前後・運動後・食事時にも補給タイミングを設ける

また、毎日の食事を工夫することも脱水予防につながります。例えば、汁物を食事に取り入れることで、水分だけでなく汗によって失われやすいミネラルも補給できます。 水やお茶による水分補給とあわせて、食事からも水分を摂ることを意識してみましょう。

熱中症か脳梗塞か迷ったら「FAST」で確認

夏場の体調不良(しびれやめまい、力が入らないなど)が、単なる熱中症なのか、あるいは脳梗塞が始まっているのかを瞬時に見分けるためには、世界共通の脳卒中識別標語「FAST(ファスト)」を今すぐ実践してください。自覚症状が薄い高齢者だからこそ、周囲の客観的な確認が命を救います。

  • F(Face:顔):口角が片方下がったり、顔の半分が歪んだりしていないか(「イー」と発声してもらう)
  • A(Arm:腕):両腕を地面と水平に前に上げたとき、片方の腕がだらりと下がってしまわないか
  • S(Speech:言葉):ろれつが回っていなかったり、簡単な日常の単語がスムーズに出てこなかったりしないか
  • T(Time:時間):これらが1つでも当てはまれば脳梗塞の疑いが濃厚です。ためらわずにすぐ救急車を要請してください。

本記事のまとめ

  • 脳梗塞は冬だけでなく、脱水が起こりやすい夏場にも注意が必要
  • 脱水により血液が濃くなることで、血栓が形成されやすく脳梗塞のリスクが高まる
  • 睡眠中から起床後2時間は特に脳梗塞が発症しやすい時間帯とされている
  • 高齢者は加齢によりのどの渇きを感じにくく、自覚なく脱水になりやすい
  • 1日1.5〜2リットルを目安に、のどが渇く前からこまめな水分補給を心がける
  • 就寝前・起床後・食事の汁物など、補給タイミングを習慣化することが予防につながる
著者より

「水分補給は大切」とわかっていても、日々の生活の中でついおろそかになりがちです。 特に高齢の方やご家族の健康を気にかけている方は、「のどが渇いていなくても飲む」習慣を ぜひこの機会に取り入れてみてください。こまめな一杯が、熱中症や脳梗塞の予防につながります。


参考文献
  1. 熱中症の症状|熱中症ゼロへ‐日本気象協会推進. https://www.netsuzero.jp/learning/le01
  2. 脳卒中レジストリを用いた我が国の脳卒中診療実態の把握:日本脳卒中データバンク2025. https://strokedatabank.ncvc.go.jp/...

ご家族の夏場の健康管理や、脳梗塞後のリハビリでお悩みの方へ

脳梗塞の予防には日頃の適切な水分補給や運動習慣が不可欠です。また、すでに脳卒中を発症され、後遺症に対するリハビリの進め方や、夏場の安全な在宅生活について不安をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

リハマッチでは、脳神経疾患のリハビリ経験が豊富な理学療法士(PT)や作業療法士(OT)が、お一人おひとりの生活環境や身体状況に合わせた最適なリハビリプランをご提案し、ご家族の安心をサポートします。

「自宅での生活リスクを評価してほしい」「脳梗塞に強いセラピストを探している」など、私たちの専門的なアプローチやサポート体制の詳細は、以下のページからご確認いただけます。


リハマッチの脳神経リハビリの特長を見る

  • X
  • facebook
  • LINE

この記事の著者

小柳拓也

小柳拓也

理学療法士

プロフィール詳細

養成学校卒業後、理学療法士としてリハビリテーション専門病院で勤務。その後、総合病院や介護保険分野での経験を経て、現在はクリニック勤務。臨床経験の中で、予防医学の重要性や認知度の向上の必要性を感じ、地域での出張講座や高齢者向けの講演活動を実施している。

この記事はリハマッチ監督チームにより監修されています

リハビリパートナー選び、
お手伝いします

あなたの症状、お悩みをお聞かせください。
一人ひとりのお悩みと状況に合わせた
セラピストを
コンシェルジュが厳選します。

  • お気軽にご相談ください マッチングまで無料
  • プラン・料金を相談して決められる
  • 介護施設法人からお申込み多数