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変形性膝関節症のリハビリ 痛みを和らげ歩く力を取り戻す運動療法の実践法

こんな人に読んでほしい!
  • 慢性的な膝の痛みに悩まされている方
  • 変形性膝関節症と診断されている方
  • 変形性膝関節症に対する自宅での運動方法を知りたい方
  • 変形性質関節症の患者に対して指導、リハビリを行っている医療従事者
この記事の要約

変形性膝関節症は「関節全体の病気」であり、軟骨のすり減りだけでなく筋力低下や関節の硬さが痛みを引き起こします。
第一選択の治療法であるリハビリでは、大腿四頭筋の筋力強化、膝を伸ばすストレッチ、体重管理を兼ねた有酸素運動を組み合わせることが不可欠です。
さらに、インソールの活用や、負担を逃がす階段昇降・立ち上がり動作など生活環境の工夫を並行することで、自分の足で長く歩き続ける力を取り戻せます。

はじめに

「膝が痛くて歩くのがつらい」「病院でリハビリを勧められたけれど、本当に効果があるの?」「できれば手術は避けたい」。このような悩みを抱えている方は少なくありません。

変形性膝関節症は、高齢者に多くみられる関節疾患であり、進行すると膝の痛みや歩行能力の低下によって日常生活に大きな影響を及ぼします。

しかし、適切なリハビリを継続することで、膝の痛みの軽減や身体機能、歩行能力、生活の質(QOL)の改善が期待できることが、わかっています1)。

リハビリの目的は、単に筋肉を鍛えることではありません。
膝への負担を軽減し、「自分の足で長く歩き続けられる身体」をつくることが大切です。

この記事では、変形性膝関節症に対するリハビリの効果と、自宅でも実践できる運動方法、日常生活で膝への負担を減らす工夫について解説します。

なぜリハビリが重要なのか?

「軟骨がすり減ってしまっては、リハビリをしたところで意味がない」と思われる方もいるかもしれません。
確かに、一度大きく傷んだ関節軟骨が元の状態に戻ることは難しいと考えられています3)。

しかし、膝の痛みは軟骨だけが原因ではありません。
近年では、変形性膝関節症は「関節全体の病気」と考えられており、筋力低下や関節の硬さ、滑膜の炎症、歩き方の変化など、さまざまな要因が痛みに関係することが分かっています5)。

つまり、軟骨そのものを元に戻せなくても、リハビリによって改善できる要素は多く存在するのです。
むしろ、リハビリは変形性膝関節症に対する第一選択の保存療法として推奨されています1)。

では、どのようなリハビリが変形性膝関節症に効果的なのでしょうか。

リハビリ① 筋力強化

変形性膝関節症のリハビリで最も重要なのが、筋力強化です。
特に重要なのが、太ももの前にある大腿四頭筋です。

大腿四頭筋は、立ち上がる、歩く、階段を昇る・降りるといった動作で膝を支える役割を担っています。
この筋肉が弱くなると、膝関節が不安定になり、歩行時の衝撃を十分に吸収できなくなるため、膝への負担が大きくなります4)。

さらに、痛みがあることで活動量が減ると筋力が低下し、その結果さらに膝の痛みが強くなるという悪循環に陥ることがあります。この悪循環を断ち切るためにも、リハビリによる筋力強化は非常に重要です。

自宅でできる大腿四頭筋トレーニング
  • 椅子に深く腰掛け、背筋を伸ばします。
  • その状態で片膝をゆっくり伸ばし、太ももの前に力を入れながら5秒間保持します。その後ゆっくり元に戻します。
  • 左右それぞれ10回を1セットとして、2〜3セット行うことを目安にしましょう。

膝が完全に伸びなくても問題ありません。痛みが強くならない範囲で継続することが大切です。

リハビリ② 関節可動域訓練(ストレッチ)

変形性膝関節症では、膝の曲げ伸ばしが徐々に制限されることがあります。
特に膝が十分に伸びなくなると、歩幅が小さくなったり、立っているだけでも疲れやすくなったりします。また、膝が曲がりにくくなると、正座や階段の昇り降りなどの日常生活動作にも支障をきたします。

そのため、リハビリでは筋力強化だけでなく、関節の柔軟性を維持することも重要です1)。

自宅でできるハムストリングスストレッチ
  • ハムストリングスとは、太ももの裏側にある筋肉です。この筋肉が硬くなると膝が伸びにくくなり、歩行時の負担が増えることがあります。
  • 椅子に浅く座り、片脚を前へ伸ばします。
  • 背中を丸めず、股関節から身体をゆっくり前へ倒していきます。
  • 太ももの裏が心地よく伸びるところで20〜30秒保持し、左右2〜3回ずつ行いましょう。

ストレッチは、「痛いところまで伸ばす」のではなく、「気持ちよく伸びる程度」で十分です。痛みを我慢して行うとかえって筋肉が緊張し、逆効果になることもあります1)。
また、関節が温まっている入浴後や軽い散歩の後に行うと、筋肉が伸びやすくなります。

リハビリ③ 有酸素運動

「膝が痛いから、なるべく歩かない方がいい」と考えてしまう方も少なくありません。
しかし、変形性膝関節症では、痛みが強くない範囲で体を動かすことが、膝の機能維持や痛みの軽減につながります。

有酸素運動のメリット
  • 歩行能力の向上
  • 心肺機能の維持
  • 体重管理
  • 筋力低下の予防

特に体重管理は重要です。歩行時には膝関節へ体重の約3~5倍の力が加わるため、体重が増えるほど膝への負担も大きくなります。
適度な有酸素運動を継続することで体重管理につながり、結果として膝への負担を減らすことが期待できます。

おすすめの有酸素運動

変形性膝関節症の方には、膝への負担が比較的少ない運動が推奨されています。例えば、ウォーキング、自転車(エルゴメーター)、水中歩行、水泳などがあります。
特に水中歩行は、水の浮力によって膝への負担を軽減しながら運動できるため、膝の痛みが強い方でも取り組みやすい運動です。

運動量の目安
  • 運動中に多少の違和感を感じることはありますが、翌日まで強い痛みが残る場合は運動量が多すぎるサインです。無理をせず、運動時間や回数を調整しながら続けましょう。

リハビリ④ 装具療法

リハビリでは運動療法だけでなく、装具を組み合わせることで膝への負担を軽減できる場合があります。代表的なものとして、膝サポーターと足底板(インソール)があります。

サポーターは膝関節を適度に安定させることで、不安感を軽減し、歩きやすさの改善が期待できます。
足底板は歩行時の荷重バランスを調整し、膝関節内側への負担を軽減する目的で使用されます。

ただし、装具だけで症状が改善するわけではありません。装具はあくまでリハビリを補助する手段であり、運動療法と組み合わせることでより効果が期待できます1)。

日常生活で膝への負担を減らす工夫

階段の降り方

階段を下りる動作では、平地歩行よりも大きな負荷が膝関節に加わります。
膝の痛みが強い場合は、「痛い方の脚から先に下ろす」ことで、反対側の脚で体重を支えやすくなります。

また、手すりを積極的に使用することで膝への負担を軽減できます。
リハビリでは、このような日常生活動作の工夫も重要な指導内容の一つです。

椅子から立ち上がる方法

立ち上がる際のポイント
  • 椅子の前方に座る
  • 足を少し後ろへ引く
  • 上半身を前へ倒してから立ち上がる

これらのポイントを意識することで、膝への負担を減らすことができます6)。
また、低い椅子よりも少し高めの椅子を使用すると、膝を深く曲げずに立ち上がることができるため、膝の痛みがある方にはおすすめです。

長時間同じ姿勢を避ける

長時間座り続けると膝がこわばり、動き始めに痛みを感じやすくなります。
そのため、30〜60分に一度は立ち上がり、軽く歩いたり膝を曲げ伸ばししたりすることが推奨されています。
こうした日常生活の工夫も、リハビリの大切な一部です。

リハビリを続けるためのポイント

変形性膝関節症のリハビリは、数日で大きな効果が現れるものではありません。
週2〜3回程度の運動を8〜12週間以上継続することで、膝の痛みや身体機能の改善が期待できると報告されています2)。

また、「痛みがあるから全く動かさない」ことも、「痛みを我慢して無理に運動する」ことも望ましくありません。
リハビリは、自分の体調や症状に合わせて運動量を調整しながら継続することが大切です。

不安がある場合は、医師や理学療法士に相談し、自分に合った運動内容や負荷を確認しましょう。

本記事のまとめ
  • 変形性膝関節症では、リハビリが保存療法の中心となる
  • 筋力強化・関節可動域訓練・有酸素運動・装具療法の組み合わせで痛みの軽減が期待できる
  • 階段・立ち上がりなど日常生活での工夫を継続することも、膝への負担を減らし症状の進行を抑えるために重要
  • 膝に痛みが出ても、適切なリハビリを継続することで自分の足で長く歩き続ける第一歩を踏み出せる

参考文献
  1. 日本整形外科学会. 変形性膝関節症診療ガイドライン. 南江堂.
  2. Fransen M, McConnell S, Harmer AR, et al. Exercise for osteoarthritis of the knee. Cochrane Database Syst Rev. 2015;(1).
  3. Hunter DJ, Bierma-Zeinstra SMA. Osteoarthritis. Lancet. 2019;393(10182):1745-1759.
  4. Juhl C, Christensen R, Roos EM, et al. Impact of exercise type and dose on pain and disability in knee osteoarthritis: a systematic review and meta-regression analysis. Arthritis Care Res. 2014;66(5):622-636.
  5. Øiestad BE, Juhl CB, Eitzen I, et al. Knee extensor muscle weakness is a risk factor for development of knee osteoarthritis. Osteoarthritis Cartilage. 2015;23(2):171-177.
  6. Neumann DA. Kinesiology of the Musculoskeletal System: Foundations for Rehabilitation. 3rd ed. Elsevier.

長引く膝の痛みや、変形性膝関節症のリハビリでお悩みの方へ

変形性膝関節症の痛みを和らげ、自分の足で長く歩き続けるためには、適切な筋力トレーニングや生活環境の見直しが不可欠です。しかし、自己流の運動で痛みを悪化させてしまったり、自分に合ったリハビリの進め方に不安をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

リハマッチでは、整形疾患のリハビリ経験が豊富な理学療法士(PT)や作業療法士(OT)が、お一人おひとりの痛みの程度や身体状況、生活環境に合わせた最適なリハビリプランをご提案し、安心・安全な在宅生活をサポートします。

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この記事の著者

光武裕司

光武裕司

理学療法士/福祉健康科学修士

プロフィール詳細

1998年大分県生まれ。大分大学を卒業後、研究を続けるため同大学大学院に進学。非常勤として介護老人保健施設に勤務しながら、生活期のリハビリテーションを中心に経験を積む。大学院では、バイオメカニクス分野を専攻し、鼡径部痛がある者へのスクワット動作に関する研究を行い、修士号を取得。現在は、回復期リハビリテーション病棟に勤務する傍ら、整形外科クリニックでも非常勤として勤めており、多角的な視点から、より早期退院・早期社会復帰を実現できるリハビリテーションを目指している。

この記事はリハマッチ監督チームにより監修されています

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